翻訳部門で閑古鳥が鳴いている。ここ三年ほどの現象か。
チャットGPTなどの生成AIが一般に使われ始めた頃と同時期だと思う。
「機械翻訳」というのは以前からあって、その珍訳、誤訳を翻訳者仲間で笑ったものである。
しかし、生成AIはちょっと違う、いやかなり違う。人間の翻訳作業をほぼ奪うことになるような気もする。
実際にその方向に行っている。我々はいずれ豆腐屋、米屋、レコード店、本屋と同じ運命を辿ると思う。
星ケ岡でこれまで3回、展示会を開いたカリフォルニア州バークレイ在住のアーティストが2022年に作品集を出版し、
今年の4月に2冊送ってくれた。159ページにわたるハードカバーの素晴らしい作品集だ。

裏表紙には作家WOSENEのbioがあり、生成AIのClaudeを使って訳させてみた。
オリジナルの文章がこれ:

翻訳結果がこれ。翻訳そのものには1分も掛かっておらず、わずか一カ所を除き、内容も悪くない。
アーティストについて
ウォセネはエチオピア生まれのアメリカ人アーティストで、アメリカ国内および海外で40年以上にわたる輝かしい経歴を持っています。彼は現代抽象芸術において初めてアムハラ語の文字を使用した人物であり、文字の文字通りの意味を超えて、新たな国際的ビジュアル言語を創造し、絵画や彫刻を制作しています。彼はこれを「WordPlay(ワードプレイ)」と呼んでいます。ジャズは彼の制作活動に大きな影響を与えており、またニューヨークのグラフィティ(落書き)に幼少期から触れたことも影響しています。エチオピアで学士号(BFA)を取得した後、ハワード大学で修士号(MFA)を取得し、アフリカ系アメリカ人の著名なアーティストであるジェフ・ドナルドソンの指導を受けました。
彼の作品は、国際連合、エチオピア国立博物館、スミソニアン国立アフリカ美術館、バージニア美術館、クロッカー美術館、日本のキース・ヘリング美術館、インディアナポリス美術館、ノイベルガー美術館、ニューアーク美術館、バーミンガム美術館、ファウラー美術館、フレミング美術館など、世界各国の公共・民間・企業コレクションに収蔵されています。
こうしてみてみると閑古鳥もむやみやたらに鳴いているわけではないが、生成AIへの指示の出し方、帰ってきた結果の精査、これには人間の英語と日本語の語学力が必要なわけで、なんとかまあなるだろうと、超極楽とんぼを決め込んでいる翻訳部門担当者である。
